個展一日前、長男が手足口病にかかって展覧会は始まりました。
頼んでおいた託児所に断られ、旦那様は忙しい時間のさなか、
お客様が似顔絵に並ぶさなか、お店を閉めて子守に途中で帰宅。
忙しい父と母。大事なお客様が来るのに長男ゆきちを泣かせたまま
客間で会議。
飛騨高山に嫁いだ姉が子守のために帰郷。

私はなんで個展なんかしているのだろう、
そんな思いで始まった初日でした。

日本中の神社仏閣に走り回る熱い父、それをサポートする忙しい母、
京都に来て二年、似顔絵会社を立ち上げ、スタッフ抱えて寝る時間もおしんで
働く旦那さま。
私の制作に誰も手をかしてくれない我が家。。。。

路上で自分の絵を配っては、お求めして下さる方々に截金の作品集を見せて
実はこんなものを創ってます。どこか良いギャラリーありませんか?
アメリカと東京でそんな経験をして、
また祇をん小西さんて個展がしたいと思えば当時は先ず断られ、
幾度も小西さんに通っては、お偉い陶芸家様の展覧会などやっていて、
また沢山いはるお偉いおじさま達から作品をボロンカスに批評され、
またある日は、小西さんに「この作品には触れることもできないわ」
などと言われ、

あれから15年。

屈折の15年。

子育てをしながら、毎日毎日苦しみながら創る制作の日々。

なんで私はこんな人生を選んでしまったのだろう。

そんな思いと戦いながら、歯を食いしばって創るのです。
憧れの祇をん小西さんが企画してくれた二回目の、8年振りの展覧会。
子供ができようと断りたくない。
もう沢山の方々が、こんな無名作家の私の作品を、
ええお値段だしてお求め頂いてきている事実。

だから苦しくても創るのです。

助けてくれない家族からの心の愛を
名一杯に受けながら、
愛しい子供に愛されながら、

必死で創った作品に、

なんと、お偉いおっさん(失礼)方々や、
厳しい厳しい小西さん、
大学の恩師、
皆さま一様に

「よ~描けとんな~」

お褒めの言葉を頂いたのです!
嬉しかったです。

いつもとは一味違う、大変濃厚な展覧会でした。

ご来廊頂いた皆さま、
ほんまにありがとうございます。

京都の岩倉でひっそり暮らす無名作家に
沢山の熱いお手紙も頂きました。
有り難い気持ちでいっぱいです。

育児と制作に奮闘する私に、
寺に通って修行をしている友人が、
截金に出会ったキセキに感謝しなさい、と。

キセキに感謝。

みなさまに感謝。

小西さんのところに届いたメール、ひけらかすものではないのですが、
嬉しくて嬉しくて胸の詰まる思いです。

 

昨日は本当に美しい花を見ました。
植物としての花から、花の願いとしての花のイメージに昇華しているのね。DMを見たときから、これがきりがねなのかと、、。その線の柔らかさに心のなかで不思議に 思っていました。(なんというか江里佐代子さんのイメージが強くて、、。)
彼女、自由に美しい花というかたちの詩の世界を持っている。その線には少しも揺らぎもない わ。そして、どこにも存在しないはずなのに、太古からの夢の古層に眠っている花の種子を咲かせたと思う。

 

 

ありがとう。ありがとう。ほんまにありがとう。
小西さんがブログに展覧会の模様を記載して下さってます。
どうぞご覧になって下さい。
http://gionkonishi.com/blog/index.html

ご来廊頂いた皆さまに、心よりお礼申し上げます。

            安川幸聖理