私が小学生の頃、父の元にお弟子さんが入ってきました。
その方は頭脳明細だっため、親に芸大に入ることを猛反対され、
結果、京都大学をご卒業された後、今だに絵を諦められないと、
父のところにやってきはりました。

私は小学生だったため、何も考えていなかったのですが、
両親がその方の事を何を私に説明した分けでもありませんが、
仏のような方やなぁと子供ながらに思っておりました。
父も最初は芸大を出ていない若いその方を使えると思っては
いなかったそうですが、彼の抜群の頭の良さと、
仕事に対する熱心さ、そして持って生まれた絵の才能に気付くのに
時間はかからなかったようです。

その方と殆どお話をした事はありませんが、
なんと言いますか、
人生に早くから悟りを開いているような方に思っております。
もう随分と前に父の元から独立して、
京都の田舎で、またどこで出会わはったんやろか、
と思いますような、美しく奥ゆかしい素敵な女性とご結婚なさり、
殆どを自給自足で、絵のお仕事をしながら、
ヒッソリお暮らしになられております。

その方から今更ですが、
結婚祝いに、と一輪の絵を頂きました。

私もう結婚して何年になりますかしら。
これも随分前のお話ですが、
姉が結婚した時に、その方が一輪のお花の絵を姉に贈って下さっており、
私は姉の家に行く度にその絵が羨ましくて仕方ありませんでした。

ほんの少し前、その方の個展があったそうです。
その時に母がそのお話をしますと、
私に申し訳ないと思って下さったようで、
なんと私にと、絵を贈って下さりました。

ネットのお写真では伝わらないと思うのですが、
たった一輪のこの絵画に、その方のお人柄が見受けられ、
なんとも言えない気持ちになります。

するとその方が、言ったそうです。

「私もみまりさんの作品が欲しい」と。

本当に驚きました。
尊敬とか崇拝とかとはまた違う、なんと言うたらいいのか
分かりませんが、
とにかく、物欲とか一切ないような方ですのに、
私の作品をあの方が欲しいのですか!!!と。

その方のイメージにピッタリの作品が手元にたまたまあり、
母に託し、渡して頂いたところ大変喜んで頂いたようです。

小学校の頃から、
なんか凄い人やな~、と思っていたような方から、
私の作品を喜んで頂けるなんて、本当に光栄でなりません。
私にとって、その方に作品をお渡しする日がくるなんて、
夢のよう。

そして今も尚個展で作品をお求め下さる皆様にも
有り難いと思えてなりません。
作品をお求め下さる方々がいらっしゃるという現実は、
ほんまに贅沢な現実です。

遠く離れたどこかの国では、
飢えに苦しみながら、
必死で生きている人々がいると考えますと、
贅沢な贅沢な現実です。

改めて、感謝。

左側は私の作品 タイトル 「月に咲く」 右がその方の作品です。