所蔵品ジュエリーの図案をA3サイズ板に描かせて頂くと
なっていたところに、截金作品の絵の具と美術品となる
所蔵品ジュエリーを一緒に直接置くことは大変危険となった。
板にガラスの窓を開け、ガラスの向こうにジュエリー
手前に截金をしましょうと私の家に届いた板は真ん中が
予想以上に大きくくり抜かれた板でした。
企画の提案が来ていた時から図案を頂くのは難しいと
なっておりましたので自分がジュエリーに合わせて
どのようなものが描けるか、ずっと不安でおりました。
しかしミキモト様も勿論私をプロとして選んで頂いているので、
そこは安川さんにお任せします!と、
「何を描けば?」
なんというアホな質問はできません。
プロなんじゃ。わたしゃプロなんじゃ。
私生活が一般主婦過ぎて自分の立場を
言い聞かせないとウッカリただの
庶民のオバサンが出てしまいます。
とにかく、
一月のお正月が終わっての、春に向かっていく時期の展示会ですから
展示会の皆さまにお配りするチラシは春のようなイメージカラー、
またそのチラシを見て展示会に訪れる方々の印象を同じに
するために、展覧会スペースも春カラ―で考えている。
が、所蔵品ジュエリーの部分は重厚感を持たせたく暗い色で
ディスプレイを考えているので板の色は任せるが暗めにして
欲しいとのことでした。
私は下描きなどで空想を考えれませんので実践して描いて行くしかありません。
先ずは板の色を塗って考えよう。
このようにご提案させて頂き、
吉祥ジュエリーとなる青が葡萄、
楓はエンジ、グレーがクローバー、
緑が亀甲、紫が花車で行きますと
申しました。
さて色が塗られて、
しかしそんな間も私は母で子供の突然のハプニングにも追われるのです。
娘、目の病気になり学校を数日休む。
子育てで困るのが急な子供の病気に病院に行かねばいけない時間です。
はぁ・・・。またできひん。
時間に追われる。
今日までにやらなあかんとこまでできひん・・・。
作家と母本当に大変です。
母が忙しそうなのを理解できる歳になったけれど、
私の色塗り作業を黙って見ているのにとうとう飽きて、
A3板の裏に塗った黒の余った絵の具で遊ばせ黙らせながら母は真剣に
黙々と作業です。(部屋が散らかっているため雑に隠しました。失敬!)
色を塗るのもムラになってはいけないので会話一切なし、
黙って、
無音で、
全身の集中力を要します。
その作業が終わると、先ず花車に取り掛かりました。
ジュエリー図面を截金でということが頭にあったため、
そのまま模写のような形でまず花車を描きました。
これも全くの下描きなしで直接描いて行きました。
自分で言うのもおこがましい限りですが、
よ~描けとるな、
ちょいと自慢化に私のミキモト担当様お一人に先ず途中経過をお見せしましたら、
”ジュエリーをそのまま描くことは安川さんでなくても出来ます。
安川さんでないと出来ないものをこちらは求めております。”
との思ってもいない返事が来て、
エエエエ!!!得意気だった私は愕然と致しました。
截金はやり直しがききません。
こちらの作品は特に板の穴を開ける加工から板に色を塗りなども既に施しているので
やり直しなんぞ絶対にできません。
しかしそこからはプロ根性。
また自由に描いてくれなんて
私としては願ってもいない要望です。
それからは自由に線で遊びました。出来上がったのがこちら。
(ジュエリーは本番では勿論現物です。)
次にクローバー。
クローバーはクローバーの葉の一枚をモチーフにイメージを
膨らませて描きました。
真珠とクローバーが絡み合う。
クローバーはシロツメクサ。
シロツメクサの花も少しだけチョロリン。
おおっと!截金入れすぎに注意です。
一番意識しましたのは、今回は私がメインではないと言うことです。
私の作品展ではありません。
主役は
MIKIMOTO
です。
ですので所蔵品ジュエリーより截金の方が目立っては
いけない。
“ジュエリーを入れた時にその作品が完成する”
常にこれを考えながら作業を進めていきました。
次々と仕上げていき、
私としては特に葡萄は截金のあと一押し欲しい!と
思う具合と、ジュエリーを入れたバランスが非常に
上手く行ったと思っております。
↑ここに最後に葡萄ジュエリーが入って完成。
個人的にオミゴトと言いたい。
次に楓。↓
楓は描いてみると偉く和になり、和の表現は洗練されていないと
大変モッサイもんになります。簡単にちょっと楓を描いた風に
見えると思うのですが、構図のイメージに苦戦して時間が
かかりました。滝の合間から楓が咲いているイメージです。
よく時間はどれくらいかかりますか?と言われますが、
イメージがグングン湧くものは凝っていても早く出来る場合があり、
苦戦しますと偉く時間を要することもあります。
次々どんどん仕上がりました。
難しかったのが亀甲です。
亀甲柄というのは吉祥紋様でもシッカリと存在し、
それを私なりに描くとは。
ジュエリーに入っている亀甲柄の崩し用がありません。
そこでジュエリーの蝶々になっている片方だけを
抜粋して描くデザインで勝負致しました。
これらの板を展示会場では五角形に組まれ飾られました。
そのお写真がまだ手元に来ておりません。
届きましたらアップ致します。
順番が逆になりましたが先ず最初は
ミキモトの展示会に配るチラシのデザインから
スタートしたのでした。
次はそちらのデザインのことについて
書きたいと思います。
私としてはこういった経過を聞くのは面白いと
思うのですが皆さんはどうかしら?
京都は本日晴天。
もうすぐ春も近い梅の花が咲いてくるころです。
今日も母としての仕事に追われながら、
また截金作家として次々に依頼があるところです。
とても大変ですが、
作家としては贅沢なところに来たように思います。
皆様に感謝。
それではごきげんよう♥